「家族だから大丈夫」は通用しない。家族でもNGなお金&契約7選
「夫婦なんだから、カードくらい貸しても大丈夫」「親に頼まれて、代わりにネット銀行へログインしている」「亡くなった親の口座から、とりあえず葬儀代を引き出しておこう」家族の間では、ごく自然に思える行動です。
しかし、お金や契約の世界では、「家族」と「契約者本人」は別です。
クレジットカードや銀行口座、ネットサービスなどは、原則として契約者本人の利用を前提にしています。家族だからといって、本人と同じ権限を持つわけではありません。
普段何気なくやっていることが、利用規約に反したり、トラブル時の補償に影響したりすることもあります。家族だからこそ知っておきたい、「お金と契約の7つの注意点」を整理します。
① ETCカードを家族で使い回す
夫名義のETCカードを妻が使う。親名義のカードを子どもに渡す。「料金は同じ家計から払うのだから問題ない」と思うかもしれません。
しかし、クレジットカード会社が発行するETCカードは、会員本人の利用を前提としているものが一般的です。具体的な利用条件は、発行会社の会員規約を確認する必要があります。
家族名義のETCカードの使用をめぐって刑事事件となった事例もありますが、他人名義のETCカードを使用すれば直ちに犯罪になる、という単純な話ではありません。刑事責任は具体的な利用状況や認識などによって判断されます。
大切なのは、「家族だから自由に貸し借りできる」と思い込まないこと。家族が日常的に利用するなら、各カード会社が認める方法で本人名義のETCカードなどを用意するのが安全です。
② クレジットカードを貸し借りする
クレジットカードも原則として名義人本人が使用するものです。「妻にスーパーで買い物を頼むから夫のカードを渡す」といった使い方でも、カード会社の会員規約に反する可能性があります。
さらに注意したいのが、不正利用などのトラブルが起きたときです。カード会社の補償には条件があり、本人によるカード管理の状況などによっては、補償の対象外となる可能性があります。
家族にカードを持たせたいなら、本カードを貸すのではなく、カード会社が正式に発行する家族カードを利用するのが基本です。
③ 家族カードも「完全に自分のカード」ではない
家族カードには、利用する家族本人の名前が記載されています。しかし、本会員とは契約上の立場が異なります。家族カードは、本会員の契約に基づいて追加発行される仕組みだからです。
そのため、本会員が退会したり死亡したりした場合には、家族カードも利用できなくなるのが一般的です。具体的な取り扱いはカード会社によって異なるため、本会員に相続が発生した場合には、カード会社へ連絡して手続きを確認することが重要です。
④ 亡くなった人のクレジットカードを使わない
「最後の公共料金だけ払っておこう」「注文済みの商品代だけ決済しよう」と思っても、亡くなった本人名義のクレジットカードを遺族がそのまま使うのは避けましょう。
クレジットカードは契約者本人の利用を前提としており、カードそのものを相続して使い続けることはできません。カード会社に死亡の事実を連絡し、正式な手続きを行います。
また、本会員の契約に付随する家族カードやETCカードなどについても、利用停止となる場合があります。「死亡したらカード関係は一度すべて確認する」と覚えておくと安心です。
⑤ ネット銀行・証券のIDとパスワードを共有しない
ネット銀行やネット証券では、「夫婦で家計を管理しているから」「高齢の親に頼まれているから」と、IDやパスワードを共有したくなることがあります。
しかし、オンライン口座は本人による利用を前提としており、認証情報の第三者との共有を禁止・制限している金融機関もあります。本人以外による操作が行われていると、万一の不正利用などの際に問題になる可能性もあります。
特に高齢の親の財産管理では、パスワードを教えてもらうことと、法的・契約上の代理権を持つことは別問題です。代理人制度などが用意されている金融機関もあるため、正式な方法を確認しましょう。
⑥ 故人のサブスクは勝手にログインして処理しない
亡くなった人が、動画配信サービス、クラウドストレージ、有料アプリ、オンラインサービスなどを契約していることがあります。国民生活センターも「デジタル終活」について注意喚起しており、故人が契約していたサブスクのID・パスワードが分からず、解約できないといった相談事例を紹介しています。
ここで重要なのは、契約者が亡くなれば、すべてのサービスが自動的に解約されるわけではないということです。だからといって、家族が故人になりすましてログインすればよいとも限りません。まず契約先を特定し、各事業者が定める死亡時の解約・相続手続きを確認します。
これは生前から、「何を契約しているかを家族が発見できる状態にしておく」というデジタル終活にもつながります。
⑦ 故人の銀行口座から安易にお金を動かさない
「死亡届を役所に出した瞬間、すべての銀行口座が自動的に凍結される」と思っている人もいます。
しかし、通常、銀行が死亡の事実を把握した時点で口座の取引を停止するため、死亡届を提出しただけで全国の金融機関へ一律に通知され、すべての口座が即時凍結されるという仕組みではありません。だからといって、キャッシュカードと暗証番号が分かるから自由に引き出してよい、ということでもありません。
特に注意したいのが相続放棄です。
民法では、相続人が相続財産の全部または一部を「処分」した場合、原則として単純承認したものとみなされる規定があります。そのため、故人の預金を自分のために使うなどした場合、後の相続放棄に影響する可能性があります。
ただし、「1円でも引き出したら相続放棄できない」という意味ではありません。引き出した目的、金額、その後の使途などによって法的評価は異なります。
相続放棄を検討しているなら、故人の財産を動かす前に、家庭裁判所や弁護士・司法書士などに確認するのが安全です。
家族のお金ほど「正式な手続き」を
今回の7つに共通するのは、「家族だから本人と同じことができる」という思い込みです。
| こんなとき | 基本的な対応 |
|---|---|
| 家族にクレカを使わせたい | 家族カードを検討 |
| 家族がETCを使いたい | 発行会社の規約を確認 |
| 親の銀行口座を管理したい | 金融機関の代理制度等を確認 |
| 本人が亡くなった | カード会社・金融機関へ連絡 |
| サブスクを解約したい | 事業者の正式な手続きを確認 |
| 故人の預金を動かしたい | 相続関係を確認してから |
| 相続放棄を考えている | 財産を処分する前に相談 |
家族は生活の単位ですが、契約は個人単位です。
「家族だから大丈夫だろう」と自己判断するのではなく、契約先の規約や正式な代理・相続手続きを確認する。少し面倒でも、それが結果的に家族のお金を守ることにつながります。
【参考サイト】
※本記事について
本記事は、家族間で行われやすいクレジットカード、ETCカード、銀行・証券口座、オンラインサービス等の利用や、死亡後の契約・相続手続きについて、一般的な消費者・法律知識を解説したものです。「家族でもNG」という表現は、家族であっても契約者本人と同じ権限を当然に持つわけではないことを分かりやすく示したものであり、紹介した行為が一律に違法・犯罪となることを意味するものではありません。利用条件や補償、代理手続き、死亡後の取り扱いは、各事業者の規約や個別の事情によって異なります。また、故人の財産を処分する行為は相続放棄等に影響する場合があります。実際の手続きでは各事業者や裁判所等の最新の公式情報を確認し、相続など法律上の判断が必要な場合は、弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。
