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資産は「増やす」だけでは守れないデジタル終活と相続で考える、お金の最後の出口戦略

デジタル終活と相続で考える最後の出口戦略をイメージしたアイキャッチ画像
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「終活」というと、遺言書やお墓、エンディングノートを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、お金の観点から見ると、これからの時代に欠かせないのが「デジタル終活」です。

私たちの資産は、この20年ほどで急速にデジタルへ移行しました。ネット銀行、ネット証券、NISA口座、iDeCo、クレジットカード、電子マネー、ポイント、暗号資産、サブスクリプション契約……。かつては紙の通帳や証券が資産の証でしたが、今では多くの財産がIDとパスワードの先にあります。

しかし、家族がその存在を知らなければ、相続の手続きは始まりません。証券口座に数百万円、あるいは数千万円の資産があっても、どこの証券会社を利用しているか分からなければ、その資産は長期間放置されることがあります。ネット銀行の預金、電子マネーの残高、航空会社のマイル、各種ポイントも同様です。

一方で、動画配信サービスやクラウドストレージ、アプリの有料プランなどは、利用者が亡くなった後も自動更新され、誰も気付かないまま利用料金が引き落とされ続けることもあります。

デジタル終活では、単にパスワードを書き残すだけではなく、利用している金融機関、証券会社、保険会社、クレジットカード、サブスクリプション、スマートフォンの解除方法、緊急連絡先などを一覧に整理しておくことが重要です。

もちろん、IDやパスワードをそのまま紙に残すことには盗難や悪用のリスクもあります。保管場所を信頼できる家族に伝え、定期的に更新するなど、安全性への配慮も欠かせません。しかし、ここで多くの人が見落としていることがあります。

「デジタル終活」だけでは解決できない問題

たとえ家族がすべての口座や契約を把握できたとしても、それだけでは財産を受け継げるとは限りません。問題は「誰が法律上、その財産を相続できるのか」です。相続は、「家族だと思っていた人」が受け継ぐ制度ではありません。法律上の相続人が受け継ぐ制度です。ここを誤解している人は少なくありません。

再婚家庭で起こる「家族なのに相続できない」問題

たとえば、父Aが再婚し、妻Bには連れ子(前婚の子C)がいたとします。20年間、仲良く一緒に生活してきました。周囲から見れば、誰もが親子です。しかし、AとCが養子縁組をしていなければ、法律上、AとCは親子ではありません。このため、Aが亡くなっても、Cには相続権がありません。多くの人は、「家族なのだから当然相続できる」と考えます。しかし、民法はそう考えていません。

民法は「法律上の子」を相続人としている

民法第887条第1項は、「被相続人の子は、相続人となる」と定めています。ここでいう「子」とは、法律上の子です。養子縁組をしていない連れ子は、この「子」には含まれません。一方、民法第727条は、「養子は、養子縁組の日から養親との間で実子と同じ親族関係になる」と定めています。

つまり、養子縁組をした瞬間から、法律上の親子となり、相続権も発生するのです。逆に言えば、長年一緒に暮らして親子同然の間柄でも、養子縁組がなければ相続人にはなりません。これは感情ではなく、法律のルールです。

遺言だけでは不十分なことも

もちろん、養子縁組をしていなくても、遺言によって財産を渡すことはできます。しかし、遺言によって財産を受け取る人は「受遺者」であり、法定相続人とは異なります。

たとえば、養子縁組していない連れ子に「全財産を遺贈する」と遺言しても、実子や配偶者など一定の相続人には遺留分があります。遺留分とは、一定の相続人に法律上必ず残される最低限の取り分です。

さらに税金面でも差が出ます。被相続人の配偶者・父母・子ではない人が相続または遺贈で財産を取得すると、相続税額が2割加算される対象になります。養子になっていない連れ子が遺贈で財産を受け取る場合、まさにここに入る可能性があります。

資産形成のゴールは「出口設計」をどうするか

NISAや投資信託で資産を増やすことは重要です。しかし、それは資産形成の途中に過ぎません。本当のゴールは、築いた資産を、確実に次の世代へ引き継ぐことです。デジタル資産を整理する、相続人を確認する、必要なら遺言を作る、再婚家庭では養子縁組も検討する。ここまで含めて、お金の管理と言えるでしょう。

投資では「出口戦略」が重要だと言われます。相続も同じです。どれだけ資産を築いても、家族がその存在を知らなければ引き継げません。そして、法律上の相続人でなければ受け継げない場合があります。

つまり、資産には「見つけられないリスク」「引き継げないリスク」があるのです。デジタル終活は前者への備えであり、相続対策や養子縁組の検討は後者への備えです。

資産形成とは、お金を増やす技術だけではありません。「誰に、どのように、確実に引き継ぐか」まで設計してこそ、本当の資産形成が完成します。人生100年時代、投資・貯蓄・相続・デジタル終活は、それぞれ別々のテーマではなく、一つの「資産防衛」の物語として考える必要があるのではないでしょうか。

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