「紙の通帳」はもう不要? 時代が変わる銀行との付き合い方
スマートフォンを数回タップするだけで、残高確認や振込ができる時代ですが、銀行へ行くと、給料日や月末には、いまでもATMの前で通帳記帳をする人を見かけます。
インターネットバンキングの利用は年々広がっていますが、紙の通帳を使い続ける人も少なくありません。NIRA総合研究開発機構の全国調査によると、2026年2月時点でインターネットバンキングを利用している人(「よく利用している」「ときどき利用している」の合計)は44%でした。
つまり、利用者は増えているものの、日本では依然として半数以上が日常的には利用していないことになります。紙の通帳はこれからも必要なのでしょうか。
通帳は、かつて最高の「家計簿」だった
インターネットがなかった時代、通帳はお金の管理に欠かせない存在でした。給与が振り込まれた日。公共料金が引き落とされた日。ボーナスが入った日。すべての入出金履歴が一冊に記録され、お金の流れを把握できました。家計簿をつけなくても、通帳を見れば家計の状況がわかる。そんな時代だったのです。
お金の管理方法は大きく変わった
現在は状況が大きく変わりました。スマートフォンがあれば、24時間いつでも残高確認。振込・振替。入出金履歴の確認。定期預金の管理。投資信託やNISA口座との連携。すべて自宅からできます。
さらに家計簿アプリと連携すれば、銀行口座やクレジットカード、証券口座までまとめて管理することも可能です。紙の通帳が担ってきた役割の多くを、スマートフォンが代替するようになりました。
通帳のメリットとデメリット
もちろん、紙の通帳に利点がないわけではありません。紙で確認すると安心できる。スマートフォンやパソコンの操作が苦手でも使いやすい。通信障害やスマートフォンの故障の影響を受けない。長年の取引履歴を紙で保管できる。こうした理由から、特に高齢者を中心に、今でも通帳を支持する人は少なくありません。デメリットも増えている
しかし、紙の通帳にはデメリットもあります。記帳のためにATMへ行かなければならない。繰越手続きが必要になる。紛失や盗難のリスクがある。金融機関によっては通帳発行や繰越に手数料がかかることもある。ネットバンキングを利用すれば無料で済む振込も、ATMや窓口では手数料が高くなるケースがあります。
こんな人は「通帳あり」がおすすめ
✅ 紙で残高や入出金を確認すると安心する
✅ スマートフォンやパソコンの操作が苦手
✅ ATMや銀行へ行くことが苦にならない
✅ 家計簿代わりに通帳を使っている
✅ ネットバンキングをあまり利用しない
こんな人は「通帳レス」がおすすめ
✅ 残高や明細をスマートフォンですぐ確認したい
✅ 振込や振替を自宅で済ませたい
✅ 家計簿アプリと連携して資産管理したい
✅ ATMへ行く時間を減らしたい
✅ 通帳の紛失や記帳の手間をなくしたい
時代の流れは、確実に「通帳レス」へ
銀行を取り巻く環境は確実に変わっています。人口減少や低金利の影響もあり、多くの銀行では支店の統廃合が進み、窓口業務も少しずつスリム化されています。物理的に利用できる実店舗数が減っているのです。
農林中金総合研究所の推計によると、都市銀行、地方銀行、信用金庫などを含む民間金融機関の実店舗数は、2015年度末の2万9,869店から2020年度末には2万7,128店へ減少しました。わずか5年間で2,741店、約9%が姿を消したことになります。特に地方銀行は同期間に約9%、農協は約15%減少しています。
駅前の銀行が閉まり、別の支店へ統合された経験がある人もいるでしょう。支店名や支店番号だけを残し、実際の店舗を別の支店内へ移す「店舗内店舗」も広がっています。
さらに、一部の銀行では通帳発行や繰越時に手数料を導入し、通帳レス口座を標準とする動きも広がっています。銀行側にとっても、紙の通帳には印刷費、配送費、保管費、ATMの維持費など、多くのコストがかかります。
つまり、これは銀行業界全体の構造変化なのです。
「怖いから使わない」は、もったいない
もしスマホやインターネットを利用できる環境にあるなら、「難しそう」「なんとなく怖い」という理由だけでネットバンキングを避けてしまうのは、もったいないです。
最初は残高確認だけでも構いません。慣れてきたら振込や定期預金、家計簿アプリとの連携など、少しずつ活用の幅を広げれば十分です。新しい仕組みは、実際に使ってみると想像以上に便利だと感じることが少なくありません。
大切なのは「紙かデジタルか」ではありません。自分の口座を把握し、安全に管理し、必要なときに家族もその存在を確認できる状態にしておくこと。銀行との付き合い方も、時代に合わせてアップデートする必要があります。必要に応じて新しい仕組みも取り入れていくこと。それもまた、お金と上手につき合うための金融リテラシーの一つではないでしょうか。
参考・関連サイト
- 金融庁「預金保険制度」
- 全国銀行協会
- みずほ銀行「みずほe-口座・みずほダイレクト通帳」
- みずほ銀行「みずほe-口座の利用について」
- みずほ銀行「通帳レス」
- ゆうちょ銀行「ゆうちょダイレクト」
- ※本記事について
本記事は、紙の通帳とデジタル通帳、インターネットバンキングなど、銀行サービスの変化について一般的な情報を提供することを目的としています。紙の通帳が一律に不要になったという意味ではなく、通帳の発行・利用条件、手数料、デジタル通帳で確認できる取引履歴の期間などは金融機関によって異なります。また、デジタル通帳やインターネットバンキングを利用する場合は、ID・パスワード等の適切な管理やフィッシング詐欺などへの対策も重要です。紙・デジタルそれぞれの特徴を理解し、ご自身の利用環境や管理しやすさに合った方法を選択してください。具体的なサービス内容については、利用する金融機関の最新の公式情報をご確認ください。
