知らないと損

ポイ活は本当にお得?「ポイントのために買う」とお金が残らない理由

ポイント獲得を優先するあまり本来の支出判断を見失う様子を表現したアイキャッチ画像
筒井直子|Money Compass 編集長

どのお店でもポイントカードを出し、アプリがあれば登録する。数%でも還元されるなら、もらわないより、もらったほうがいい。私も以前はそう考えていました。

ところが、買い物のたびに「ポイントカードはお持ちですか?」と聞かれ、アプリを開き、クーポンを探し、ときには「あと○円買えばポイントアップ」という表示まで確認する。確かにポイントは貯まっている。それなのに、なぜか「節約できている」という実感はありませんでした。

「必要な買い物をして、その結果としてポイントが付くこと」と、「ポイントを得るために買い物や行動を変えること」は、まったく別の話です。

ポイ活は上手に使えば家計の助けになります。一方、ポイントを目的にし始めると、節約のつもりが支出を増やしてしまうこともあります。この記事では、ポイントを否定するのではなく、「どこまでなら得なのか」を家計管理の視点から考えてみます。

ポイントは「貯めるほど得」とは限らない

たとえば、10,000円の商品に「5%ポイント還元」と書いてあったとします。500円相当のポイントが戻ってくるので、一見するとお得です。しかし、その商品が本来買う必要のないものならどうでしょう。500ポイントを得るために10,000円を支払ったことになります。

もちろん、もともと10,000円の商品を買う予定で、他店と比べても価格や条件が変わらないのであれば、500ポイントは家計にとってメリットになります。

重要なのは、

「何ポイントもらえるか」ではなく、「ポイントがなくても、その商品を買ったか」

という順番です。ポイント還元率が高くなるほど、この順番が逆転しやすくなります。

「今日ならポイント10倍」
「あと2,000円でキャンペーン対象」
「今月中に使わないと失効」

こうした条件を見て予定外の買い物をしたのであれば、ポイントを得たことだけを見て「得をした」と判断することはできません。

1%還元の本当の効果を計算してみる

ポイントの価値は、一度、年間金額に直してみるとわかりやすくなります。

たとえば、毎月10万円の支払いを1%還元の決済サービスにまとめたとします。年間利用額は120万円。1%なら、年間で得られるポイントは約12,000円相当です。決して無視できない金額です。

一方で、「ポイントアップのために予定外の商品を買う」「有料会員になる」「送料無料にするため商品を追加する」といった支出が積み重なれば、そのメリットは簡単に小さくなります。

ポイントを見るときには還元率だけでなく、年間で実際にいくら得るのか、そのために余計な支出をしていないか まで見る必要があります。

これはマイルなどについても同じです。普段から飛行機を利用する人にとってマイルは価値がありますし、高速道路を頻繁に利用する人にとってETC関連の割引やポイント制度が有利になる場合もあります。逆に、ポイントを貯めるためにサービスの利用そのものを増やしてしまえば、本末転倒です。

つまり、「どのポイント制度がお得か」より先に、自分の生活の中に、そのサービスを使う必然性があるかを考えることが大切です。

ポイ活で見落としやすい「管理コスト」

もう一つ見落としやすいのが、ポイントを管理する手間です。ポイントカード、アプリ、会員サイト、クーポン、キャンペーン、ログインID、有効期限。一つひとつは小さな手間でも、サービスを増やすほど管理するものも増えていきます。

数十円、数百円のポイントを得るために、毎回アプリを探したり、キャンペーンへのエントリーを確認したりするのであれば、その手間まで含めて「自分にとって得か」を考えていいでしょう。

もちろん、スマートフォン決済などに一本化して、普段の買い物だけで自動的にポイントが付くのであれば、管理の負担はそれほど大きくありません。

問題なのは、ポイントを得るために、新しい作業が次々と増えていく状態です。節約は、本来、生活を複雑にするためにするものではありません。

ポイントサービスでは購買履歴も蓄積される

もう一つ知っておきたいのが、ポイントサービスとデータの関係です。個人情報保護委員会のガイドラインでは、ある個人の商品購買履歴やサービス利用履歴などが「個人関連情報」に該当する例として挙げられています。

また、同委員会は匿名加工情報の活用例として、ポイントカードの購買履歴などを適切に加工したうえで、複数の事業者間で活用するケースも紹介しています。

取得される情報や利用目的、第三者提供の有無などは、サービスごとのプライバシーポリシーや利用規約によって異なりますが、大切なのは、ポイントサービスを利用するとき、「無料でポイントがもらえる」という面だけでなく、利用履歴などのデータがサービス運営に利用される場合があることも理解しておくことです。

特に、ほとんど利用しないサービスに数百円の割引だけを理由に会員登録する場合には、「本当に登録する必要があるか」を一度考えてもよいでしょう。

「ポイント経済圏」が便利なのには理由がある

最近では、ネット通販、スマートフォン決済、携帯電話、銀行、証券、クレジットカード、街の店舗などを同じポイントで結び付けるサービスが増えています。利用者側には大きなメリットがあります。支払いをまとめればポイントが貯まりやすくなり、管理もしやすくなるからです。

一方、企業側にもメリットがあります。一つのサービスを利用している顧客に、同じグループの決済、通信、金融、ECなどを利用してもらいやすくなるからです。

こうした仕組みでは、一度サービスをまとめると他社へ乗り換える手間が大きくなることがあります。経済学やマーケティングでは、こうした状態を「ロックイン」と呼ぶことがあります。自分がもともと使っているサービスを一つの経済圏にまとめることで、手間を増やさずポイント還元を受けられるなら合理的です。

問題なのは、「ポイントを貯めたいから、このサービスを使う」という順番になったときです。

ポイ活でお金を減らさない4つのルール

私は、ポイントについては次のように考えるとシンプルだと思っています。

  • ポイントがなくても買うものだけを買う
  • 還元率より、商品価格と必要性を先に比べる
  • ポイントや決済サービスを増やしすぎない
  • ポイントを使うために新たな買い物をしない

この4つを守るだけでも、「ポイントを貯めているのにお金が残らない」という状態はかなり避けやすくなります。ポイントは、目的ではなく「結果」としてもらう。これくらいの距離感がちょうどいいのではないでしょうか。

家計を変えるなら「還元率」より大きな数字を見る

家計改善を考えるときには、数%の還元率だけを見るのではなく、通信費、保険、サブスクリプションなど、毎月自動的に出ていく支出にも目を向けたいところです。

なかでもサブスクは、1件あたりの金額が小さいため見過ごしやすく、使っていないサービスでも解約しない限り支出が続きます。詳しくは、「サブスクは、家計を蝕む『見えない固定費』」で、サブスクが家計に残りやすい理由と見直し方を解説しています。

ポイントを数百円多く獲得することより、毎月繰り返し出ていく支出を一つ減らすほうが、家計への効果が大きいこともあります。ポイントは、必要な買い物についてくる「おまけ」と考える。そのくらいが、ポイントに振り回されず、お金を残すためのちょうどいい付き合い方かもしれません。

参考資料

個人情報保護委員会「匿名加工情報」

個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」

国税庁「No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い」

※本記事は、ポイント還元やポイントサービスの利用を否定するものではなく、ポイントを目的とした不要な支出を避け、家計管理の観点から適切な利用方法を考えることを目的としています。

ポイントの還元率、利用条件、有効期限、取得・利用される情報などはサービスによって異なり、変更されることがあります。利用にあたっては、各事業者の最新の利用規約やプライバシーポリシーをご確認ください。

また、国税庁によると、商品購入額に応じて企業から通常付与されるポイントは、一般に通常の商取引における値引きと同様に扱われ、原則として所得税の課税対象とはなりません。一方、抽選キャンペーンなどで臨時・偶発的に取得したポイントなどについては、取り扱いが異なる場合があります。税務上の判断が必要な場合は、国税庁等の最新情報をご確認ください。

ABOUT ME
筒井直子|Money Compass 編集長
筒井直子|Money Compass 編集長
出版社勤務30年以上/Money Compass 編集長
慶應義塾大学卒業後、大手出版社で30年以上、編集者として書籍・雑誌に携わってきました。Money Compassでは、家計・投資・教育費・税金・制度など、人生のお金に関わるテーマを、公的機関や一次情報を確認しながら生活者の目線でわかりやすく解説しています。
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