年収より大切なのは「純資産」 資産を築くにはリセールバリューを意識せよ!
「年収1,500万円」「年収700万円」どちらがお金持ちでしょうか。多くの人は、年収1,500万円と答えるかもしれません。しかし、資産形成という視点では、これだけで経済的な豊かさは判断できません。
年収は、その年に得た収入です。会社でいえば「売上」に近い数字です。一方、本当に会社の価値を決めるのは、資産から負債を差し引いた「純資産」です。
例えば、売上100億円の会社でも、多額の借入を抱え、利益が出ていなければ経営は苦しくなります。逆に売上はそれほど大きくなくても、借入が少なく自己資本が厚い会社は財務的に安定しています。
家庭も同じです。
例え、Aさんは年収1,500万円ですが、住宅ローン5,500万円、カーローン500万円、教育ローン300万円、リボ払い100万円があり、純資産は500万円です。
一方Bさんは年収700万円ですが、住宅ローンは完済し、預金800万円、投資信託2,000万円などを保有し、純資産は3,500万円あります。
もちろん、これは分かりやすくするための極端な比較であり、年齢や家族構成、ライフステージによって状況は異なります。しかし、少なくとも資産形成という観点では、「年収が高いこと」と「経済的に豊かであること」は必ずしも一致しません。
純資産を増やす人は、買った後で「価値がいくら残るか」を考える
純資産を増やすにはどうすればよいのでしょうか。その答えの一つは、出口を考えて買うことです。住宅を買うとき、多くの人は、間取りや設備。新築か中古か。月々の住宅ローンを重視します。もちろん、どれも大切です。しかし資産形成では、
「20年後、この家はいくらで売れるだろう。」
という視点が欠かせません。住宅は生活の場であると同時に、多くの家庭にとって最大の資産だからです。
不動産業界では、一般的に資産価値が維持されやすい条件として、駅に近いこと。都心へのアクセスが良いこと。人口が維持・増加している地域であること。商業施設や教育環境が充実していること。希少性があること。などが挙げられます。
東京都心では、港区・千代田区・中央区・渋谷区・新宿区・文京区の「都心6区」は、需要が安定しているエリアといわれます。もちろん、「都心だから値下がりしない」という意味ではありません。不動産価格は景気や金利、人口動態などさまざまな要因で変動します。それでも、将来も買いたい人がいる場所か。という視点は、資産形成では非常に重要です。
さらに忘れてはならないのが、災害リスクです。近年は豪雨による洪水や土砂災害、液状化、地震などへの関心が高まり、不動産を購入する際にはハザードマップを確認する人も増えています。
災害リスクは、自分や家族の安全だけではなく、将来売却するときの資産価値にも影響する可能性があります。実際、不動産売買では、一定のハザード情報について説明が求められるケースもあります。つまり、住宅も、「買う価格」より、「将来どれだけ価値が残るか」という視点が大切なのです。
これは住宅だけではありません。リセールバリューの高い車。需要が安定しているブランド品。適切に運用された投資信託。価格が維持される保証はありませんが、価値が残る可能性が高いものを選ぶことが、資産を築くには大切です。
「資産になる家」を選ぶためのチェックリスト
□ 駅徒歩10分以内など、交通利便性は高いか
□ 将来も人口や需要が見込めるエリアか
□ ハザードマップを確認したか
□ 管理状況や修繕計画(マンションの場合)は適切か
□ 周辺に学校・商業施設・医療機関など生活インフラが整っているか
□ 「月々の返済額」だけでなく、「10〜20年後の資産価値」を考えたか
□ この家を将来、自分が買う立場でも魅力的だと思えるか
住宅は人生で最も高い買い物です。住宅を「住む場所」だけではなく、大切な資産として見る視点を持つことが、将来の純資産に大きな違いを生みます。
年収は、いわばその年の「成績」です。純資産は、これまで積み重ねてきた家計の「経営」の結果です。「いくら稼いだか」は過去の数字。「いくら残っているか」は現在地。そして「買ったものが、いくらで売れるか」まで考えることが、資産形成の視点です。
参考リンク
- 金融庁「資産形成の基本」
家計管理、貯蓄、長期・積立・分散投資など、資産形成の基本的な考え方を解説。 - 総務省統計局「家計調査(貯蓄・負債編)2025年平均結果」
世帯が保有する「貯蓄」と「負債」の実態を確認できる最新の年次統計。2026年5月19日公表。 - 総務省統計局「1世帯当たりの貯蓄額と負債額」
貯蓄・負債の定義が分かりやすいページです。貯蓄には預貯金だけでなく有価証券なども含まれ、負債には金融機関などからの借入金が含まれます。 - 総務省統計局「家計調査」
全国の世帯について、収入・支出だけでなく、貯蓄・負債も調査している政府統計です。記事全体の基礎資料として使えます。 - 国税庁「減価償却のあらまし」
建物・機械・自動車などについて、一般的には「時の経過等によってその価値が減っていく」と説明しています。 - ※本記事について
本記事は、家計管理や資産形成について、「純資産」と「リセールバリュー」という視点から一般的な考え方を解説したものです。本記事でいう純資産とは、保有する資産から住宅ローンや自動車ローンなどの負債を差し引いた金額を指します。年収の重要性を否定するものではなく、収入だけでなく「最終的にどれだけ資産が残り、どれだけ負債を抱えているか」にも目を向けようという趣旨です。また、不動産、自動車、時計、ブランド品などのリセールバリューは、市場環境、商品の状態、需要、売却時期などによって変動し、購入時の価格や将来の売却価格が保証されるものではありません。購入・投資を検討する際は、売却価格だけでなく、維持費、税金、手数料、借入金利なども含めた総コストを確認して判断してください。
