老後資金が足りない。でも家はある。自宅を現金化する2つの方法を比べてみた!

高齢の両親を在宅で介護するため、独身で50代の弟が仕事を辞めました。
いわゆる「介護離職」です。
両親が施設に入らず、晩年まで住み慣れた自宅で過ごせたことはよかったと思っています。一方で、弟は仕事を辞めたことで、生涯年収も将来の年金額も、働き続けた場合より低くなります。
東京で離れて暮らす姉の私としては、実家の土地も家も弟が相続すればいいと思っています。
弟は独身で子どももいないので、弟の代で実家を引き継ぐ人はいなくなります。
そこで、こんな疑問が浮かびました。
家を最後まで残す必要がないのなら、実家の資産価値を弟自身の老後のために使えないだろうか。
調べてみると、自宅に住み続けながら資金を得る方法として、主にリバースモーゲージとリースバックの2つがあることがわかりました。
似ているようで、仕組みはまったく違います。
1. なぜ「家を現金化する」という発想になったのか
持ち家は資産です。
でも、3000万円の家を持っていても、その3000万円を生活費として使えるわけではありません。
特に老後、
「預貯金はそれほど多くない。でも家はある」
という状態になったとき、その家をどう活用するかが問題になります。
通常売却して住み替える方法もありますが、できれば今の家に住み続けたいという人もいるでしょう。
そんなときに選択肢になるのが、リバースモーゲージとリースバックです。
2. 自宅を資金化する方法は2つ
リバースモーゲージ
リバースモーゲージは、自宅を担保に金融機関からお金を借りる仕組みです。
商品によって異なりますが、契約者の生存中は利息を払い、元金は死亡後に自宅を売却するなどして返済するタイプがあります。
特徴は、自宅の所有権を持ったまま住み続けられることです。
ただし、
- 年齢や物件に条件がある
- 借入可能額は不動産の評価額より少ない
- 金利が上昇する可能性がある
- 資金使途に制限がある商品もある
といった点には注意が必要です。
たとえば住宅金融支援機構の「リ・バース60」は、住宅購入、建て替え、リフォーム、住宅ローンの借り換えなど住宅関連の資金が対象で、生活費には使えません。
「リバースモーゲージ=老後生活費を自由に借りられる制度」ではない、という点は調べて初めて知りました。
リースバック
リースバックは、自宅を売却し、その後、その家を借りて住み続ける仕組みです。
つまり、
「家を売る」+「その家を借りる」
という2つの契約を組み合わせます。
売却代金をまとまって受け取れる一方、その後は毎月家賃を支払います。
売却した時点で所有権は買主へ移るため、固定資産税など所有者としての負担はなくなりますが、その家そのものを相続財産として残すことはできません。
3. 借りるか、売るか
2つの違いを整理すると、こうなります。
| 比較項目 | リバースモーゲージ | リースバック |
|---|---|---|
| 仕組み | 自宅を担保に借りる | 自宅を売却する |
| 所有権 | 原則として自分に残る | 買主へ移る |
| 得られるお金 | 借入金 | 売却代金 |
| 住み続ける間の負担 | 利息など | 家賃 |
| 契約終了時 | 元金返済が必要 | 賃貸借契約による |
| 相続 | 返済方法の確認が必要 | 売却した家は相続できない |
私自身、調べる前は「家に住み続けながらお金を得る似た制度」くらいに考えていました。
でも実際には、
家を担保に借金するのか。
家を売って賃貸住宅として住み続けるのか。
という、大きな違いがあります。
4. 3000万円の家なら、何を見る?
仮に、自宅の市場価値が3000万円あるとします。
ここで大切なのは、
「いくら受け取れるか」だけで比べないことです。
リバースモーゲージなら、
借入可能額+今後の利息+最終的な返済方法
を確認する必要があります。
リースバックなら、
売却代金+その後の家賃総額
まで見なければなりません。
さらに、
通常売却して小さな住宅や賃貸へ住み替える
という第三の選択肢もあります。
| 選択肢 | まとまった資金 | 今の家に住める | その後の負担 |
|---|---|---|---|
| リバースモーゲージ | 借入金 | ○ | 利息など |
| リースバック | 売却代金 | ○※ | 家賃 |
| 通常売却+住み替え | 売却代金 | × | 新居費用 |
※契約条件によります。
結局、「家を残したいか」「今の家にどれだけ住み続けたいか」で、選ぶ方法は変わります。
5. リースバックは売却代金だけ見ない
リースバックで特に気をつけたいのは、売却後の家賃です。
まとまった売却代金が入ると、老後資金に余裕ができたように見えます。
でも、10年、20年住み続ければ、
毎月の家賃 × 居住年数
は大きな金額になります。
また、
- 何年間住めるのか
- 更新できるのか
- 家賃は変わる可能性があるのか
- 修繕費は誰が負担するのか
- 買い戻しは可能か
といった契約条件も確認が必要です。
国民生活センターには、強引な勧誘や、売却後の家賃負担などに関する相談も寄せられています。
自宅を不動産会社へ売る契約は、原則としてクーリング・オフの対象ではありません。
その場で決めず、通常売却ならいくらになるのかも含めて比較したほうがよさそうです。
6. 契約前に確認したい7項目
今回調べてみて、最低でも次の7点は比べたいと思いました。
- 通常売却ならいくらになるか
- リバースモーゲージならいくら借りられるか
- リースバックならいくらで売却できるか
- 毎月の利息や家賃はいくらか
- 10年、20年後の総負担はいくらか
- 死亡時や契約終了時に家はどうなるか
- 通常売却+住み替えより本当に有利か
特にリースバックは、提示された買い取り価格だけでなく、通常売却した場合の査定価格も確認することが大切です。
7. 家を残さないという選択
今回このテーマを調べたきっかけは、弟の老後でした。
親の介護のために仕事を辞めた弟が、その結果として老後資金に困るのであれば、
実家をそのまま残しておくことだけが正解なのだろうか。
と思ったのです。
子どもに家を残す必要がある家庭なら、所有権を手放すことは大きな問題です。
でも、弟のように次の世代へ家を残す必要がない場合、
家を最後まで所有することより、その価値を自分の老後に使う
という考え方もあります。
リバースモーゲージにもリースバックにも、メリットと注意点があります。
だからこそ、
「いくらもらえるか」ではなく、「どんな老後を送りたいか」から考える。
今回調べてみて、それが一番大切なのだと思いました。
わが家の場合も、実際にその時期が来たら、まず通常売却した場合の価格を確認し、そのうえでリバースモーゲージやリースバックの条件を比較してみようと思っています。
参考サイト
- 国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドブック」
- 国民生活センター「強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!」
- 国民生活センター「リースバックとは何か」
- 国民生活センター「リバースモーゲージとは何か」
- 住宅金融支援機構「リ・バース60」
※本記事は、リバースモーゲージおよびリースバックの一般的な仕組みを公的資料をもとに整理したものです。特定の商品や事業者を推奨するものではありません。
※利用条件、金利、売却価格、家賃、契約期間、資金使途などは商品・事業者によって異なります。実際に検討する際は、契約内容を確認し、必要に応じて金融機関、不動産会社、税理士、弁護士などの専門家へご相談ください。


