知らないと危険。死亡後に止める・解約する・名義変更する手続き10選
家族が亡くなった後に必要なのは、葬儀や相続だけではありません。銀行口座、クレジットカード、携帯電話、公共料金、年金など、故人名義の契約や手続きを整理する必要があります。
どこの銀行に口座があるかわからない場合は、亡くなった親の銀行口座を調べる方法も確認しておきましょう。
注意したいのは、死亡届を提出しても、銀行やカード会社、携帯電話会社などへ自動的に連絡されるわけではないことです。多くの手続きは、遺族が自ら申請しなければ進みません。
家族が死亡後の手続きチェックリスト
| 手続き | やること |
|---|---|
| 死亡届 | 市区町村へ提出(7日以内) ※提出前に5~10部コピーをとっておく |
| 健康保険 | 資格確認書の返還、葬祭費の申請、扶養家族の保険切替 |
| 年金 | 未支給年金・遺族年金の請求 |
| 銀行口座 | 相続手続き、預金の取り扱いに注意 |
| 証券口座 | 証券会社へ連絡し相続手続き |
| クレジットカード | 本人カード・家族カード・ETCカードを停止・解約 |
| 携帯電話・ネット | 名義変更(承継)または解約 |
| 公共料金・NHK | 名義変更または解約、支払方法変更 |
| 身分証明書 | パスポート・運転免許証・マイナンバーカードの取扱いを確認 |
| デジタル資産 | サブスク、SNS、電子マネー、ポイント、暗号資産などを整理 |
1.死亡届を提出する
死亡届は、死亡を知った日から7日以内に市区町村へ提出します。死亡届を提出する前に、医師が作成した死亡診断書(または死体検案書)は5~10部程度コピーを取っておくと安心です。生命保険や勤務先の手続きなどで内容を確認する場面があり、コピーがあると手続きをスムーズに進められるからです。
死亡診断書には、死亡日時・死亡場所・死因などが記載されています。そのため、生命保険金の請求、勤務先の死亡退職金手続き、共済金の請求各種給付金の手続きの際に役立ちます。最近は原本や戸籍等で足りる手続きも増えていますが、コピーがあると手続きがスムーズです。
2.健康保険を確認する
国民健康保険や後期高齢者医療制度では、資格確認書などの返還が必要です。また、葬祭費が支給される場合がありますが、これも申請が必要です。故人の扶養に入っていた家族は、自身の健康保険の切り替えも忘れないようにしましょう。
3.年金を止め、未支給年金を請求する
年金は後払いです。亡くなった月までの年金を「未支給年金」として受け取れる場合があります。また、条件を満たせば遺族年金の対象になることもあります。
4.銀行口座を相続手続きへ
銀行は死亡を把握すると、原則として口座の取引を停止します。キャッシュカードと暗証番号が分かっていても、故人の預金を勝手に引き出すのは避けましょう。
預金は相続財産です。特に、故人に借金などのマイナス財産がある場合、預金の引き出しなどで相続財産を処分したと判断されると、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
相続放棄を検討する可能性があるなら、まず財産と負債を確認し、判断に迷う場合は専門家へ相談しましょう。
5.証券口座の相続手続きをする
故人のIDやパスワードを使って株式や投資信託を売買してはいけません。証券会社へ死亡を連絡し、所定の相続手続きを進めます。なお、NISA口座の資産は、そのまま相続人のNISA口座へ移せるわけではありません。
6.クレジットカード類を止める
故人本人のクレジットカードは利用できません。家族カードやETCカードも、本会員の死亡後は原則として利用できなくなります。また、カード払いにしていた公共料金やサブスクは、支払い方法の変更も必要です。
7.携帯電話・インターネットを整理する
携帯電話は、家族が契約を引き継ぐか、解約するかを選べる場合があります。ただし、すぐに解約すると、写真や連絡先だけでなく、ネット銀行などの二段階認証に使う電話番号も失う可能性があります。必要なデータを確認してから手続きを進めましょう。
8.公共料金・NHKを変更する
電気・ガス・水道などは、住み続けるなら名義変更、退去するなら解約します。NHKも、契約条件を満たさなくなった場合は解約手続きが必要です。契約者が亡くなっただけで自動的に解約されるわけではありません。
9.身分証明書を確認する
公的証明書は扱いが異なります。
運転免許証:遺族に返納義務はありません。
パスポート:死亡後は失効手続きを行います。
マイナンバーカード:死亡により失効しますが、相続手続きで番号が必要になる場合があるため、自治体へ確認してから処分しましょう。
10.サブスク・デジタル資産を整理する
動画配信、音楽配信、SNS、電子マネー、ポイント、暗号資産などは、死亡届を出しても自動では整理されません。
一方で、家族が故人のID・パスワードを使って勝手にログインしてよいとも限りません。サービスごとの手続きに従い、解約や承継、払い戻しを行いましょう。死亡後の手続きは、「死亡届を出せば終わり」ではありません。
止める、解約する、名義変更する、相続する、請求する――それぞれ別の手続きが必要です。注意したいのは、「家族だから大丈夫」と考えて、故人の口座やカード、IDをそのまま使わないことです。
また、相続放棄を検討する可能性がある場合は、故人の預金を安易に引き出さないよう注意しましょう。生前から、銀行、証券、保険、携帯電話、サブスクなどの契約先を一覧にしておくだけでも、残された家族の負担は大きく減らせます。
財産だけでなく、「契約」も整理しておくこと。それが、これからの終活に欠かせない備えではないでしょうか。
【参考サイト】
- 日本年金機構(年金受給者が亡くなった場合の手続き、未支給年金、遺族年金など)
- 国税庁「相続税に関する情報」(相続税、相続手続き、相続財産に関する情報)
- デジタル庁「マイナポータル」(各種行政手続き、代理人設定・解除など)
- 法務局「自筆証書遺言書保管制度」(遺言書保管制度の概要)
- 法テラス(相続や各種手続きに関する無料相談窓口)
※本記事について
本記事は、家族が亡くなった後に必要となる各種契約の停止・解約・名義変更や相続手続きについて、一般的な情報を提供することを目的としています。必要な手続き、提出書類、期限、契約の承継可否などは、金融機関、保険会社、カード会社、通信会社、公共サービス等によって異なります。また、預貯金や不動産など故人の財産を処分する行為は、相続放棄などに影響する場合があります。相続税の申告や相続登記など期限のある手続きもあるため、実際に手続きを行う際は、各事業者、税務署、法務局、家庭裁判所等の最新の公式情報を確認し、判断が難しい場合は弁護士・司法書士・税理士等の専門家にご相談ください。
なお、2024年4月から相続登記は義務化されており、相続によって不動産を取得したことを知った日などから原則3年以内の申請が必要です。 また、相続税がかかる場合の申告・納税期限は、原則として死亡を知った日の翌日から10か月以内です。
